Whole Low is Hollow

今日も大掃除が終わらない。

理由は、積んでいてまだ読んでいない本は読み終わるまで本棚に仕舞ってまってはいけない縛りを掛けているからだ。

そうこうしている間にも、ブックオフオンラインからは次の本が届いている。

ブックオフオンラインを爆破をしない限り、この掃除は永遠に終わらないのではないだろうか――

『職業としての地下アイドル』を読んだ。

現役地下アイドルでライターである著者が地下アイドルのリアルな実態を書いた本なのだけど、この本の中で一番興味深かったのは地下アイドルの女の子の特徴として「普通の人より親から愛されてきた」「イジメにあったことがある」という人が統計で多いということだ。

これを読んで僕がアイドルを好きになったことない理由がわかった気がした。

彼女らは親から強く愛されて育ち、それ故に自分の中に愛を持っているのだが、それをイジメ等の経験から喪失してしまい、それを補うように地下アイドルの活動で愛を振りまき、逆にオタク達からも愛を貰っている。

僕はアイドルのあのキラキラした感じを全く理解できなかったのだが、あれはつまり誰かから愛されて生きてきた証拠なのだ。

家庭環境に問題がありうまく愛を育むことが出来なかった僕は、好きになる作品も自然とそういったものが多くなった。

地下アイドルはよく「メンヘラ」だと言われがちだが、元々愛を持っている人間がそれを失ったのと、そもそも愛を持たない人間では同じメンヘラでも根本的に違うのだと思った。

アイドルのあの過剰さというのは、ある意味失われたものを取り戻そうとしているのだろう。

この本では同じような事柄についてオタクに関しての描写はなかったが、オタクという人種もまたアイドルと同じような環境にあると思う。

オタクと言っても最近は多様な人がいるので一概には言えないが、いわゆる典型的な「オタク」っぽい人は家庭環境が良い人間の方が多い気がするし(そうでなくてはオタク活動はできない)、しかし学校や職場でいじめを受ける程ではないにせよ居場所のない人間は多い。

つまり「失われた愛」を取り戻すために過剰にキラキラしたアニメを観ているということだ。

僕らのような最初から愛を持たない人間は暗い暗いドブの中のような作品ばかり観ているが、オタクと僕らの違いはつまりそこにあるのだ。